課程紹介

はじめに

最先端の材料には非常に高度な機能が要求されますが,高分子はその全てを満たすことができる無限の可能性をもちます。高分子とは,数万個以上におよぶ原子からなる巨大分子であり,原子のつながり方や,分子全体の形,分子のならび方によって,異なる機能を発揮することができます。これが無限の可能性の源泉です。ナノテクノロジー,バイオテクノロジー,情報技術,環境技術は,未来の社会を支える4つの最重要技術です。それらの技術は,電子材料,宇宙・航空材料,光・情報機能材料,環境機能材料,先端的繊維材料などとして,われわれの日常に登場します。高分子機能工学課程では,このような広がりと可能性を持つ高分子化合物や高分子材料を創り,調べ,そしてさらに進化した材料を探求するための教育と研究を行っています。

人材育成の目標

本課程では,自然科学を基盤とする高分子機能工学および高分子機能科学の専門知識と共に,国際的な感性,確固たる主体性,的確な判断力などの高度な社会性をもつ人材の育成を教育目標としています。

教育プログラム

課程の教育目標を実現するための教育プログラムは,次の理念に基づいて作られています。

  1. 急速な技術革新と社会環境の変化に的確に対応し得るため,基盤となる自然科学を偏りなく学ぶプログラムとする。
  2. 各専門科目の特徴および基盤となる自然科学との関連性を理解しやすくする。
  3. 国際的な感性,確固たる主体性,的確な判断力の育成を,専門教育においても重視する。

教育プログラムのしくみ

1年次および2年次において、応用化学系として言語教育科目および人間教養科目ならびに自然科学(化学・物理学・物理化学・生物学・数学・情報など)の基盤(実験を含む)を共通して履修し、広く自然科学の基礎知識を身につけます。

これら自然科学の基礎知識の習得と並行して,「高分子工学序論」,「発展ゼミ」,「高分子物性」の必修科目を通じて高分子機能工学や高分子機能科学の基礎を修得していきます。

2年次後学期より始まる選択必修科目Aの科目を履修することによって,高分子機能を物理的側面から学び,高分子物質の機能に関する工学的専門知識を修得します。

選択必修科目Bの科目を履修することによって,高分子機能を化学的あるいは物理化学的側面から学び,高分子物質の機能に関する化学的・物理化学的専門知識を修得します。

これらの知識をもとに,高分子特有の次元性材料の持つ多彩な構造・機能やその発現機構を理解し,応用することができる能力を身につけ,高分子の合成から材料創成、物性評価までの一連の過程を学習します。

4年次には研究室に配属されて卒業研究を実施することになりますが,それまでに工芸科学部履修細則に定める要件を満たしておく必要があります。卒業研究の内容及び卒業研究実施のための研究室への配属の方法等については3年次の終わりに説明が行われます。

卒業時の人物像

1年次,2年次に勉強してきた自然科学の基礎知識,および2・3年次で学修した機能性物質や高分子機能工学ならびに高分子機能科学に関する十分な基礎知識を基に4年次の卒業研究を通じて、将来の技術革新に対応できるような基礎知識とその応用能力を身につけ、更に人間的に広く深い素養と自覚を身につけた国際的に通用する人物が卒業時に期待される人物像です。